お楽しみ様です。
坂本です。
坂本の財布の中に入っている1万円札。
この1万円札を坂本の前に持っていた人っておそらく飲食店です。
さらにその前に持っていた人が誰かんなんて知る由もありません。
それでいいんです。
だって、それが現金のメリットである「秘匿性の高さ」なのですから。
しかし、あなたもご存知の通りビットコインは違います。
取引記録はブロックチェーンに記録されているので
「いつ発行されて」
「どんな経路をたどって」
「いつあなたのものになっている」
といった全ての記録をたどることができます。
つまり、そこには現実世界の住所や氏名などの個人情報はありません。
ブロックチェーンの記録だけで
そのウォレットが誰のものかを知ることはできません。
しかし、何かしらのキッカケで
ウォレットの持ち主が特定の個人と紐付いてしまったら
そのウォレットのプライバシーは無くなり一気に丸裸。
そこから、送受金先の個人情報が芋づる式に明らかにされることもあり得ます。
そうなってしまうと、強盗などの物理的な
犯罪のターゲットになる可能性も出てきてしまいます。
そこで登場するのが
資金の移動によって個人が特定されることを避ける
プライバシー保護を目的とした
「仮想通貨のミキシングサービス」です。
本記事では、ミキシングサービスの概要説明から、
ミキシングサービスを使った
資金洗浄に適した仮想通貨と適さない仮想通貨をご紹介します。
ミキシングサービスを使いたい方は最後まで一気にお読みになってください。
目次
ミキシングサービスの概要
この項目ではミキシングサービスの仕組みと
ミキシングサービスが持つ懸念材料を解説します。
ミキシングサービスの仕組み
例えば「ウォレットA」から「ウォレットB」に送金すると
その内容はブロックチェーンに記録されますが、
直接送金するのではなく「ミキシングサービスM」を経由して送金することで、
送金情報を特定されにくくすることができます。
そうすることで「ウォレットA」と「ウォレットB」の関連性はわからなくなり、
送金情報が特定される可能性が低くなります。
ミキシングサービスが持つ懸念材料
もともとはプライバシー保護のために始まったミキシングサービスも
実際に利用者の目的は異なります。
ダークネットと呼ばれる薬物や武器などの違法なマーケットでの取引に
ミキシングサービスが利用されています。
また、マネーロンダリング(資金洗浄)においても、
取引を隠せる便利なサービスとして利用されています。
利用できるミキシングサービス
現在、日本でミキシングサービスの提供は行われていません。
そのため、ミキシングサービスを利用するには、
国外で提供されているサービスを利用します。
メジャーなところでは次の2つです。
- Bitmix(https://bitmix.biz/en)
- ChipMixer(https://chipmixer.com/)
他にも、Wasabi Walletに対応したCoinjoinというミキシングサービスなどもあります。
2019年頃から当局の締め付けが厳しくなってきた影響なのか、大手ミキシングサービスの閉鎖が相次いでいます。
ミキシングサービスを利用しないプライバシー保護
プライバシー保護のためにできることは
ミキシングサービスの利用だけではありません。
プライバシー保護に重点を置いて開発された仮想通貨もあります。
「プライバシーコイン(匿名通貨)」と呼ばれるのもので、
特にメジャーなものがこの3つ。
- モネロ(XMR/Monero)
- ダッシュ(DASH/Dash)
- ジーキャッシュ(ZEC/Zcash)
プライバシーコインはCoincheckで取り扱っていた時期もありましたが、
取引所に必要な仮想通貨交換業のライセンスにひっかかるようで、
残念ながら上場廃止となってしまいました。
世界的に見ると一定の利用者がいるメジャーな通貨ですが、日本において今後利用できるようになる可能性は低いでしょうな。
資金洗浄としてミキシングサービスを使うにはビットコイン
さて。
参考情報として、資金洗浄としてミキシングサービスを使う場合に
どの仮想通貨が適しているのかという話に触れてみます。
結論を先に述べると
ビットコイン(BTC/Bitcoin)はイイけど、
イーサリアム(ETH/Ethereum)はダメです。
つまり、ミキシングサービスを利用することで
ビットコイン(BTC/Bitcoin)はほぼ追えなくすることが可能ですが、
イーサリアム(ETH/Ethereum)はほぼ完全に追跡されます。
この要因は仮想通貨やトークンの「残高管理の方法」による違いなのですが、
残高管理の方法には次の2つがあります。
- UTXO方式(Unspent Transaction Output)
- アカウント方式
アカウント方式でのミキシングサービスには限界があり、
チェーンアナリシスによってほぼ完全に追跡することができるということです。
つまり。
ビットコインは「UTXO方式」なのでほぼ追えなくすることが可能だけど、
イーサリアムは「アカウント方式」なのでほぼ完全に追跡されます。
金融庁と三菱総研の名前で出された「ブロックチェーンを用いた金融取引のプライバシー保護と追跡可能性に関する調査研究」これはメチャクチャ勉強になるので是非お読みナスってください。
⇒ https://www.fsa.go.jp/policy/bgin/ResearchPaper_MRI_ja.pdf
仮想通貨のミキシングサービスのまとめ
世間一般ではまだ馴染みない仮想通貨のミキシングサービス。
仮想通貨が我々の暮らしに浸透するほど
仮想通貨のメリットと言える透明性を保ったまま
どうやってプライバシーを保護するのか。
透明性とプライバシー保護の両立がますます求められるでしょう。
プライバシーを守るためにいまできることは
複数人でUTXOをミキシングできる「Wasabi」「Samourai」
を使うことでしょうナ。