お楽しみ様です。
坂本です。
2010年代以降、メガトレンドとなった仮想通貨。
いまや仮想通貨は「何に投資するか」に加えて「どこで保管するか」も大事な時代になりました。
その仮想通貨を他の金融商品・証券と同じように保管、管理する「カストディ業務」の必要性が高まっています。
ちなみに「カストディ」は仮想通貨特有の言葉ではありませんよ。
株や債券といった金融商品や証券市場で使われてきた言葉です。
例えば、あなたがネット証券で金融商品を購入した場合を思い出してください。
あなたの手元に直接○○社の株券が届くことはありませんよね。
実際には、購入したネット証券のカストディ業務を行っている部門がその株を保有、管理して、必要に応じて移転しているからです。
本記事では仮想通貨で利用するカストディアンについて、国内の事情なども含めて紹介します。

なぜなら今回の記事では
「あなたの資産を保管、管理、移転するカストディとはどのような業務なのか」
「仮想通貨におけるカストディ業務は必要なのか」
について丁寧に解説をするのですから。
- 仮想通貨をより安全に保管したい方
- カストディアンという単語を聞いたことがあるけど意味を知らない方
- カストディアンがどのような業務を行っているのかを知りたい方
それでは参りましょう。
目次
仮想通貨のカストディとは

冒頭でもお伝えしたようにカストディとは他人の資産を代わりに保有し管理することです。
仮想通貨のカストディには次の2つがあります。
● 取引所によるカストディ
● セルフカストディ
取引所によるカストディ
基本的に仮想通貨取引所として運営している業者は、カストディアンとしての役割も果たしています。
つまり、我々投資家が預けている仮想通貨を保管し、適切に管理しています。
例えば、大手仮想通貨取引所コインチェックでビットコインを購入してそのまま移動をしなかったとしたら、あなたの保有するビットコインはコインチェックがカストディ業務を行っています。
また、仮想通貨を移動させる必要があれば、その仮想通貨の移動業務も担当しています。
セルフカストディ
セルフカストディは取引所や販売所で購入した仮想通貨を、あなたのもつウォレットに移動して保有することをいいます。
こちらは海外で主体となっているもので、利用者個人が仮想通貨を管理、保管するシステムを利用します。

カストディアンとしてどのような方法を採用していくか、これは非常に重要なポイントです。
あまり仮想通貨を知らない人は仮想通貨取引所を利用したほうが安心できますが、倒産したときのリスクなどを考えるとセルフでの管理も有効です。
仮想通貨カストディアンの必要性

「なぜ仮想通貨においてもカストディ業務は必要なのでしょうか。」
ここからは、仮想通貨のカストディアンが必要とされている背景についてみていきます。
● 仮想通貨保有者のウォレット機能
● 機関投資家の参入
仮想通貨保有者のウォレット機能
仮想通貨には現実世界における実態がありません。
そうです。
電子データのみで、売買取引が行われる仮想通貨は、ハッカーなどからクライアントの大切な資産を守り、確実に保管しておかなくてはならないのです。
また、近年の仮想通貨ブームとともにニュースに表れてきたのが、取引所カストディのセキュリティの問題です。
今後、世界の投資資金が仮想通貨の世界に流入していくトレンドの中で、より安全に仮想通貨を保有、管理、移転可能なカストディアンの需要は高まっていくでしょう。
機関投資家の参入
仮想通貨の投資を検討しているのは、我々一般投資家だけではなく、金融機関を中心とした機関投資家も同じです。
しかし、クライアントから資産を提供してもらって、その資産を元手に運用をしている機関投資家にとって、仮想通貨に投資する際、安心安全のカストディ業務を行ってくれる第三機関の出現は不可欠です。
なぜ第三機関が必要かというと、自社でカストディ業務を行った場合、倒産してクライアントの資産を凍結させてしまう恐れがあるためです。
こういった背景により、安全な仮想通貨カストディアンの必要性は、一般投資家と機関投資家両面から、今後ますます増していくでしょう。
仮想通貨カストディアンの欠点

では、歴史的にもまだ新しい仮想通貨カストディアンの問題点はないのでしょうか。
ここからは、現状の仮想通貨のカストディ業務の根本的な欠点を説明していきます。
● セキュリティの問題
● 紛失リスク
セキュリティの問題
仮想通貨取引所でのカストディは、投資家にとっては取引後の移動する手間が省けますが、取引所の倒産やセキュリティの突破などにより資産の紛失の可能性があります。
実際に、2018年のコインチェック事件で、カストディしていた仮想通貨をハッキングにより抜き取られるという事態が起きています。
紛失リスク
セルフカストディでは、手間をかけて作成したあなたのウォレットを無くしてしまったり、パスワードを忘れてしまったりして資産を失ってしまう可能性があります。
もっとも代表的な例が、セルフカストディをしていた仮想通貨保有者の死亡のケースです。
パスワードを仮想通貨保有者本人しか知らずに、そのままこの世を去ってしまったら、遺族は仮想通貨の存在も知りえない可能性が出てきます。
仮想通貨カストディアンの事例

他の金融業者としてサービスを提供していたところがカストディアンとして参入するなど、カストディアン業者は増えています。
参入している背景には、仮想通貨が発展している点があります。投資関連の要素として仮想通貨が発展していることで、新しい金融サービスを展開したほうが圧倒的にお得じゃないかと考え、カストディアンとしてサービスを提供したい業者が増えています。
国内におけるカストディアンの変化
国内のカストディアンは2020年前後で一変しています。
2020年前はカストディアンは無許可でも行えました。
ところが2020年の法律変更によって一転します。
金融庁の許可が必要となったワケです。

さらに。
この問題点がカストディアン業者を苦しめることとなります。
● 分別管理の必須
● マネーロンダリング対策
仮想通貨取引所と違って、カストディアンはこの対策をとっていなかったこともあり、対策を進める必要がありました。
その影響は非常に大きく、特に分別管理は負担を大きくする要因となったのです。
結果、負担を増やすくらいならサービスを停止したほうがいいとなり、カストディアンは減少してしまったのです。

アメリカの大手銀行U.Sバンクがカストディサービスを開始
2021年10月追記
仮想通貨のカストディ事業を取り行う企業は、世界中で増加しています。
金融大国アメリカの大手銀行U.Sバンクは、2021年10月にビットコインのカストディサービスを開始しています。
当分はビットコインのみのカストディ事業をするとの意向を示しつつも、取り扱い通貨の拡大も視野に事業を展開していくことに意欲を示しています。
アメリカのメガバンクの後ろ盾をもらい、高い知名度、セキュリティ、コンプライアンス、規制基準を達成してきたこのカストディ事業は、今後ますます成長が期待されるでしょう。
まとめ:保管方法の選択もあなた次第の時代へ
仮想通貨の安全な資産保管業務を行うカストディアンの需要はますます増加しています。
アメリカ大手U.Sバンクのビットコインカストディ業務参入に見られるように、成長性のある分野であることは否めません。
しかし、国内では登録の義務化によって一気に減少傾向にあります。
今後、仮想通貨の歴史とともにカストディ事業の問題点の解決も達成されていき、仮想通貨はより大きな市場へと拡大していくでしょう。
あなたが「何にいつ投資するか」だけではなく、「どこで保管するか」も選択すべき時代がすでに来ているのです。